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正直、「あーね」はコミュ障を生むと思う

「お前臭いぞ、風呂入ってねーな」

「ちげーよ! 納豆食ったからだよ!」

「あーね」

 

この会話に使われている「あーね」という言葉。あなたはご存じだろうか。最近では若者言葉として、多くの若者が当たり前のように使っている。2011年には女子中高生携帯流行語大賞6位入賞、2013年には、あの半沢直樹の「倍返しだ!」や、林修さんの「今でしょ!」、「激おこぷんぷん丸」に並ぶほど使われた言葉としてこの「あーね」がランクインしている。すごすぎるぞ、「あーね」!! では、いったいどんな言葉なのか。冒頭に挙げた例でも分かるように、相槌に近い使い方だ。語源も「あー、なるほどね」や「あー、確かにね」などが若者によって略されて使われ始めたとされているので、やはり、相槌的な使い方で正しいだろう。この言葉のすごいところは、単に相槌であることではない。僕が思うに、「あーね」は最強のボキャブラリーを持った、究極の相槌だと思っている。それはなぜか。例で見せた方が早いので、いくつか例を挙げてみる。

① 「最近あいつ、誘ってもすぐ断るよなー」

  「仕方ねーよ。あいつ、家が大変でバイト始めたんだって」

  「あーねー」 (理解)

② 「これめっちゃ美味しいじゃん! なにこれ!?」

  「そりゃ美味しいはずよ! だってここ、ミシュラン2つ星だもん!」

  「あーね!」 (共感)

➂ 「ここがどうしても分かんないんだよね……」

  「あ、ここは、ここをこうして、この数式はめたら、答え出るよ」

  「あーね!」 (納得)

④ 「それでさ、~がね、~で、~なんだよ!」

  「あーね」 (頷き)

⑤ 「そして、~が、~で、なんと! ~だったんだよー!」

  「……あーねあーね」 (さっさと話しを終わらせたい)

 

このように、どんな場面でも対応できる、とんでもない守備範囲を持つ相槌なのだ。何に対してもこの「あーね」は使える便利な言葉であるため、若者が爆発的に使っていったのだろう。これ一つ覚えておけば、コミュニケーションをとることがいとも簡単になるし、いちいち返事に気を配る必要がなくなる。若者だけでなく、大人の人も最近では使うところをたまに見かけるくらい浸透しているため、若者の発信する力というのは侮れない……。

しかし、ここで問題がある。この言葉、便利は便利なのだが、あまりにも便利すぎやしないだろうか。何に対しても返せるという事は、何に対しても、考えずに相槌ができてしまい、人の言葉をちゃんと聞かなくても返事をしてしまえるということだ。ちゃんと相手とのコミュニケーションが取れている状態での使用は、恐らく問題ではないだろう。しかし、人は不安に思う生き物。若者となればなおさらだ。あまりにも「あーね」を連発すると、自分の話を聞いていないのではないかと不安に思う人も出てくるかもしれない。さっきの使い方の例でいうと、⑤に当たる。相手の言葉を返すのがめんどくさくて、つい適当に相槌してしまう使い方だ。「あーね」以外の使い方でいくと、「はいはい」と一緒の感じがする。この相槌も、人の話をよく聞いていなときについ出てしまう相槌だ。こうなるとマズイ。便利がゆえに連発すると、コミュニケーションを円滑にするための言葉が、逆に、コミュニケーションを妨げてしまう結果になり得ない。人と関わるのがめんどくさい、しゃべるのがめんどくさい、人の話を聞くのがめんどくさい。そんな若者が増えている中で、この言葉を多用するのは危険なようだ。コミュニケーションを取ることが下手くそになってしまうかもしれない。「あーね」というただの略語が、まさかこんな社会問題にまで発展し、問題視されるなんて、発信し始めた人たちは夢にも思わなかっただろう。恐るべし! 「あーね」!!

ところで、一つ気になりはしないだろうか。この問題の「あーね」を一体だれが考えたのか。誰が生み出したのか。「倍返しだ!」は半沢直樹、「今でしょ!」は林修先生。しかし、これは若者言葉。どこかの若者が使い始めたことまでは予想がつく。しかも、だいたいこのような若者言葉が流行り出すのは首都圏が主だ。つまりは東京! 現に、僕の東京の友達も、「あーね」を使ったことがあると話していたし、周りも使っているという。やはり東京が情報の発信源、ではなかった。確かに、東京でも使われている言葉だが、その東京よりも圧倒的に「あーね」を使用しているところがあった。福岡県だ。そう、これは方言だったのだ。正確には、福岡で「あーなるほどね」が略されて使われ始めたものが、インターネットやSNSで広がり、遠く離れた東京などでも使われるようになったのだ。その証拠に、全国の現在大学生の男女に「小中学生のとき地元であーねを使っていたか」の調査をした教授がいるのだが、これが面白いことに、福岡に圧倒的に集中していたのだ。むしろ、他の地域はほとんど使われていなかったのだ。なるほど、まさか地方から全国レベルの若者言葉が生まれるなんて、なんだか嬉しくなる! なにせ、僕自身が福岡出身福岡育ちだからだ! ここ、あーねっていうとこですよ。