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案外カッコつけ続けるのも大変なのかもしれない

格好いい生き方って、誰もが憧れるし、そんな人生いいなー! なんてよく思ったりする。自分の決めた道を迷わず突き進む人なんて、その代表格と言ってもいいくらいだ。かっこよすぎで、憧れで、自分もそうなれたらいいな、なんて思ってる。

でも、そういう人たちは、本当に迷わず突き進めているのだろうか。自分の決めた道を見失ったりしていないのだろうか。本当は、誰よりも迷って、悩んで、苦しんで、でもそんな弱気な自分を周りに見せたくなくて、必死にカッコつけているんじゃないのか。

だとするなら、カッコよく生きてる人って、案外大変なのかもしれない。

 

友達に、役者を目指した人がいた。それも4人も。いや、先輩や後輩を入れるともっといる。それは割と自然の流れだったのかもしれない。なぜなら、そこのコミュニティが「演劇部」であったからだ。大学を卒業すると、役者を目指す者が多かった。あるものは声優。あるものは舞台俳優。どちらも狭き門だろう。でも彼らは就活などに目もくれず、代わりに膨大な数のオーディションを受けていた。それが彼らの就活だったのだろう。夢を追った彼らは行く場所が決まり、未来の自分への一歩を踏み出していった。しかし、思うようにいかず、死なないように始めたバイトが、いつの間にか生活の大半を占めるようになっていたり、それすらもせず、引きこもるようになったのか連絡もつかない者まで出てきた。

一体、彼らは何をしに行ったのか。そして、私は一体何をしているのか。

表現をしながら生きていく。

目的はかなり明確にある。問題はその手段である。

私の場合、それが舞台に立つことだったり、こうやって文字を書いたりが今私のできる表現方法だ。つまるところ、生きていくということは食べていかなければならない。ということは、プロフェッショナルにならなければならないということだ。

 

私は制作プロモーターの会社で働きながら演劇をしたり、文字を書いたりしている。恵まれたことに、演劇を優先できる会社なのだ。なんという好条件! まあ、それもそのはず、私が在籍している劇団は、同じく私が働いているプロモータ会社の所属劇団だからだ。稽古がある日は稽古を優先できるし、もちろん本番でツアーに行くとなると、私は役者として各ツアー地を回っている。ただし、月給は会社勤めとしては著しく低い。普通にバイトとして入った方が圧倒的に稼げる月なんてザラにある。稽古や公演本番は会社の仕事をしていないから当然である。文句は言えない。

そして私は、会社からある命を受けている。それが「書けるようになること」と「劇団内の制作業務をできるようになること」。

書けるようになる、というのはライティング能力を身に着けることであり、これは私がやりたいことに直結するため、むしろウェルカムである。

問題は二つ目だ。「劇団の制作業務をできるようになること」これがひじょーーーに問題である。なぜなら、これはやりたいことであって、やりたくないことだからだ。意味が分からないと思う。私にも分かんない。分かんないからこうやって文字にして吐き出してるんじゃん。っていうくらい、これについては悩んでいる。劇団制作は劇団を続けていく上で或いは自分が劇団を運営することになったときに必要になることである。だけど、それをしてしまうと表現で生きていくという目的から少しずれたところに行ってしまう気がする。第一、会社はそうは言うが、劇団には劇団の代表がいて、全決定権はその彼にあり、私の発言力は彼によって無効化されることが多い。私の劇団での歴が浅い分、何にも知らないのに的な空気を出してくる。

そう、私は板挟みなのだ。

劇団制作をするためにはまず、発言力を高めないといけない。そのために私はライティング能力を誰よりも伸ばして、それを武器に公演の広報戦略を成功させるという方法をとることを考えたわけだ。しかし、ライティング能力の成長もそうだが、役者としても成長しなくてはならない。手段のベクトルが、一個多いのだ。私は器用じゃないので二つをそつなくこなすのは厳しい。全力でやって、やっと、「頑張ったな」と言われる程度だ。そんな私が役者もプロでライティングもプロで、そして劇団制作までしっかりとやれと言われ、1個でヒイヒイ言ってるのにできるかバカヤロウ!! なんて、自分が決めた道に泣き言を言っている。あげくには、こんな記事を書いて愚痴ってしまっている。最初の方には、同じ志を持った仲間に、何をしに行ったのかなんて、まるで自分が成功者みたいな言い方をしてしまっている。同じところにいるのに。そう、私も同じなのだ。こんなに弱音を吐いて、自分が決めた道に泣き言なんて言って、迷って、悩んで、不安で、どうしようもなくなってしまう。でも、後輩が私たちの後姿を見て、盛大にカッコつけた良いとこしか見せてない張りぼての背中を見て、「自分たちも頑張ろう!」なんて少なからず思っちゃてるんだから、泣き言とか言ってられないし、弱いところなんて見せられるはずがないのだ。自分の決めた道に迷わず突き進むカッコいい人物を演じ続けなければいけない。じゃあ止めるなんててはどうだろうか! そんなこと、もっとできるはずがない。プライドだけは一人前なのだ。厄介なものだ。自分でも面倒な性格だと感じるし、どうしようもない奴だとも思う。でも、向き合っていくしかないのだ。泣き言言いながらでも、弱音吐き散らかしながらでも、迷って、悩んで、不安に押しつぶされそうになりながらも、必死にカッコつけて前に進むしかないのだ。

自分がそう決めたから。プロとして生きていくということを決めたから。

カッコつけるのも、案外大変だ。